ポッサムのプロジェクトが終了しました
ポッサムのストールブランケット
お世話になります。
最近本格的に寒くなってきましたね。。
皆様、お体に気をつけてお過ごしください。
さて、11月1日からマクアケにて掲載していたポッサムのストールブランケットですが、先日プロジェクト掲載が終了しました。
最終的な調達額は208名のご支援者様から¥3,116,400円(1558%)ものご支援をいただきました。
ポッサムは日本ではまだあまり認知されていないので日本で広めていこうという想いのもと動き始めたプロジェクト、たくさんの人に知っていただき嬉しいです。これからもポッサム素材を使用したプロダクトを生み出し、世の中にアプローチしていきたいと思っています。
さて、今回はそのポッサムについてのお話をさせていただこうかなと思っています。
マクアケでのプロジェクト内容とほぼ同じものとなっています。
ポッサムとは?
【ポッサム (Possum)】とは有袋類双前歯目クスクス亜目の小型の動物なのですが、6科にわたりポッサムと呼ばれる種がおり、あわせて約30種ほどいます。
ニュージーランドでポッサムと呼ばれるのは【Common Brushtail Possum(コモン ブラッシュテイル ポッサム)】のこと。
哺乳綱双前歯目クスクス科フクロギツネ属に分類される有袋類で、マオリ語では【Paihamu(パイハム)】と呼ばれ、和名は”フクロギツネ”といいます。
大型の猫ぐらいのサイズで、灰色から暗褐色の毛、ピンクの鼻に茶色の突き出た目。
ずんぐりとした体に短い前足で、木に登るための長い爪を持っています。そして、物にしがみつくためのモコモコとした長い尻尾が特徴的。
ポッサムは夜行性で、日中は主に木のくぼみや地面の巣穴などに隠れて寝ています。
日没後約30分で巣穴から出てきて活動。
ほとんどの時間を木で過ごし、全体の時間の10〜15%しか地上にはいません。
ポッサムの特徴
このポッサムを使用し作ったストールブランケットには様々な機能や大きな特徴やこだわりがあります。それは
といった点です。
一つ一つ詳しく説明していきます。
1.カシミヤより暖かく保温性に優れている
カシミヤより暖かいなんて本当?と思われるかもしれませんが、本当です!!
今回は実際にカシミヤ100%で同じ編み立て方をした生地と、ポッサムメリノとの比較検査をしました。実験内容は保温性の検査とサーモグラフィーでの検査となります。
上記のグラフを見ていただけますと、カシミヤ100%(青グラフ)よりもポッサムメリノ(オレンジグラフ)の方が約2.5度ほど保温性に優れていることがわかります。※試験条件 : 水温42℃の温水が入ったペットボトルに生地を巻き付けて検査。室内環境温度5℃。
サーモグラフィーでの実験
これはカシミヤ100%とポッサムメリノを水の入ったペットボトルに巻き、温めることで保温力の検査をしたものです。実際に人で実験する方が良いのではないかと思われるかもしれませんが、人の体温は個人差があるので正確性のある実験をするためにこのような手法をとりました。
サーモグラフィーでは色が白い部分が一番温度が高く、ポッサムメリノの方がカシミヤ100%よりも暖かいということがお分かりいただけるかと思います。
カシミヤ100%もウール素材でかなり暖かいというのはご存知かと思いますが、そのカシミヤよりも暖かいポッサムメリノをこの機会にぜひ体験してみてはいかがでしょうか?
2.中空糸のため軽い
では、なぜこんなに暖かいのかといいますと、理由としてポッサムの毛は中空糸という中が空洞になっている(マカロニのようなイメージ)構造のため、そこに空気を含むことができ、カシミヤなどのウール素材と比べて断然暖かく、抜群の保温効果を持っています。
また、中が空洞なので通常のウールなどに比べると軽いというメリットもあります。今回のストールブランケットは重量が約300gとなっています。ふんわりとした編み方で作っていますので着用した際も軽さを感じる風合いとなっています。
この特殊な中空構造の毛を持つ動物は世界中でポッサム、トナカイ、白熊しか存在しません。極寒の厳しい環境下に生息するトナカイや白熊と同じ毛という点からも、いかにポッサムの毛が保温力に優れているかお分かりいただけるかと思います。
3.摩耗に強く、毛玉ができにくい
カシミヤなどの天然繊維は肌触りが良い反面、耐久性が弱く使用しているとすぐに毛玉が出来たりよれたりしてしまいます。天然繊維でできたプロダクトを使用している方はそのような経験があるかと思います。
しかし、良いものは長く愛用したいものです。
ブランケットやストールは肌や生地に触れるプロダクトです。肌触りや柔らかさなどが良いとついついスリスリしてしまいませんか?また、ブランケットであれば家でソファなどに掛けておくシチュエーションも多いかと思います。生地や肌との接触が多いということは、摩耗の頻度が多く、それだけ痛んだり毛玉ができるのが早いということです。
その点ポッサムメリノは摩耗に強く、そして毛玉が出来にくいという性質を持っています。今回は同じ編み方をしたカシミヤ100%の生地との比較でピリング(毛玉)の検査をしました。
ピリング(毛玉)の検査では検査用の回転する箱に生地を入れ、5時間回転させて比較をしました。全て同じ環境下での実験となります。写真はより正確な検査結果を伝えるために検査後取り出してすぐに撮影したものとなっています。
※カシミヤ生地の色が異なりますが編み方などは全て同じとなっています。
ポッサムメリノ
カシミヤ100%
両方毛玉は出るものの、毛玉の大きさや量はポッサムメリノの方が圧倒的に少ないという結果になりました。この検査は極限まで生地を擦る検査であり、日常生活で例えると数年使用した際の結果と同等レベルとなります。
4.妥協のないこだわりの日本製
今回のストールブランケットは香川にある工場さんの協力を得て生産しました。こだわった物作りをされている工場で、何度も打ち合わせをしながら試作を重ねて組み立てていきました。
出来上がりたてのストールブランケットはタオルのような硬さでシャリシャリ感があります。そこから何回も洗いをかけてふんわり柔らかいタッチのストールブランケットが出来上がります。柔らかさの追求やサイズ感などが今回のプロジェクトで特に拘ったポイントです。
ポッサムのデメリット
このように、ポッサムの糸にはこれだけの素晴らしい特徴があります。しかしデメリットもありますのでその点について隠すことなくお話しさせていただきます。デメリットは、ポッサムの糸は非常に短く加工しにくいことから100%ポッサムではなく、ウールやナイロンと混ぜて「ポッサムウール」や「ポッサムダウン」「ポッサムメリノ」という名称で販売されています。
その中で今回はポッサムとメリノウール、そしてシルクを組み合わせて作ったPERINOのNIMBUSという糸を使用しました。
様々なシーンでの使用を想定
このストールブランケットのポイントであるサイズを決める際、様々なシーンでの使用を想定し調整を行っていきました。
まず家の中での使用を考えた時、最近定着しつつあるリモートワーク中の膝掛けやソファで仮眠する際にかける毛布の代わりなど、いわゆるおうち時間での使用を想定し、体を覆うことのできるサイズが良いのではないかという結論に至りました。
そして、外出する際にストールやショールとしての使用を想定した時に、あまり大きすぎるのも良くないと感じ、最終的に縦幅を長く、横幅を少し抑えたサイズ感にしました。このサイズにすることで様々なシーンでの使用が可能となります。
【ソファでゆっくりする時】
【リモートワークやデスクワーク時】
【リビングでの膝掛けに】
【外出時での使用に】
上記のシーン以外でもさまざまなシーンでご使用いただけるストールブランケットですが、それだけの環境に対応できる機能を兼ね備えている必要があると私たちは考えます。
暖かさ、保温性、肌触り、そして長期の使用を想定した場合の耐久性、毛玉の出来にくさなど。それらの機能を兼ね備えた素材を探していた時、「ポッサム」に出会いました。
ポッサムには様々な特徴があり、そのメリットをはじめて知った時は私たちも少し疑いの目で見ていました(カシミヤより暖かいなんて本当かよ!!みたいな)。
その後色々調べ、実際にサンプルを生産したり比較検査をしていく中でそのメリットは事実であるということがわかりました。しかし、こんなに良い素材であるのにもかかわらず日本ではまだあまり知られていないというのが現状です。
なぜ日本であまり認知されていないのか?
「ポッサムがなぜ日本であまり認知されていないのか?」について少しお話しさせていただきます。
いくつか理由はあるのですが、一つが精毛という繊維原料の加工工程の問題です。
これまでもニュージーランドでポッサムはありましたが、精毛(不純物や荒い毛を取り除き綺麗にする)が出来ませんでした。そのため、糸のクオリティが影響してニュージーランド以外に広がりませんでした。
しかし、ここ10年でWoolyarns社がポッサムヘアを精毛することに成功し、ポッサムダウン(わた毛)を可能にしました。これにより、ポッサムプロダクト全体のクオリティが向上し、 ポッサムダウンのカシミヤに勝るとも劣らない風合いやユニークな素材の特徴を武器に、Woolyarns社は世界へのアプローチをしているところです。
ではなぜ日本では認知されていないのか?という点については、「”まだ”認知されていない」と言った方がいいかもしれません。
日本人は欧州に比べて、「イメージ」が大きく影響すると思っています。そして「無難」が一般的に好まれます。
なので、「カシミヤが一番!」のイメージが消費者に強く影響を与えていて、それを越える価格帯原料がマスマーケットをターゲットにする大手メーカーに望まれないことがあります。希少性が望まれつつも、メジャーが良いというパラドックス。
希少性のあるポッサムより、一般的に広く知れ渡っているカシミヤの方がリスクが少なくて良いということです。
「カシミヤ」や「メリノ」のイメージは一般の方にも耳馴染みが出来ましたが、次点の高級獣毛「アンゴラ(ウサギ)」や「アルパカ」や「モヘア」も良く知られていません。なので、さらに「ポッサム」ってどんな動物?となっている状況です。
しかしこの状態ではいつまで経っても、軽くて温かい素敵な素材の”ポッサム”は日本に普及しません。。
そこで、私たちがその問題を解決するために動いた、ということです。もちろんさまざまなリスクを伴いますが、「日本でポッサム素材を広める」という想いが強いので、そのリスクを承知の上で取り組む必要がありました。
このプロジェクトを通して一人でも多くの方にポッサム素材を認知していただけますと幸いです。
仕様詳細
【図面】
【サイズ】
ストールブランケット:約1800mm×750mm
【組成】
ウール(ファインZQメリノ)65% / 毛(ポッサム) 25% / シルク 10%
【生産国】
日本製
洗い、縫製などの加工も全て日本国内にて仕上げております。
【お洗濯について】
家庭での洗濯は避け、クリーニングに出してください。
【ポッサム混製品のお取り扱いについて】
この製品に使用している糸はサステナビリティを考慮し、できるだけ自然や環境に配慮した方法で製造されています。またポッサムファーの本来の性質を壊さぬよう最低限の加工に留めています。ポッサム特有の細い毛が編地のところどころに見えますが、無理に引っ張ったりカットしないでください。使いはじめは摩擦などにより、若干短い繊維くずが落ちる場合がありますが、糸の特性上ご了承ください。繊維のナチュラルさを生かしたふっくらと素朴な風合いをおたのしみください。
カラーバリエーション
カラーはベージュ、アイボリー、ブラックの3カラーをご用意しました。全て主張の激しくない自然なカラー、できるだけシンプルなデザインにしたので幅広い年齢層の方でも合わせやすくなっています。お好みのカラーを選択してください。個人でのご使用はもちろん、ご夫婦やカップルでお揃いのカラーを使うのもよし、気分により色違いのカラーを使うのも良いかもしれません。
ちなみに、ベージュに関しては無染色(全く染めていない素材そのままのカラー)となっています。
【ベージュ】
【アイボリー】
【ブラック】
着用参考イメージ
【ベージュ】
【アイボリー】
【ブラック】
まとめ
ポッサムについての話や特徴、ストールブランケットについての詳細はこのような感じです。
まだまだ認知が広まっていないですが、このプロジェクトをきっかけに知っていただき興味を持っていただけますと幸いです。
ストールブランケットの販売についてですが、ECのみでマクアケのプロジェクトページにて販売を開始いたします。
価格は¥23,000(税込)となっています。
なかなかポッサムのプロダクトは日本で手に入り辛く、あっても輸入品が多く高価になってしまします。
その点弊社のストールブランケットはまだ手に取りやすい価格だと思います。
この機会にぜひ、ポッサムを体験してみてください!!